RATの歴史とラインナップ

ProCo RAT エフェクター

アメリカミシガン州に本社を置くProCo(プロコ)から販売されているRAT(ラット)は、世界中で多くのギタリストに愛されて続けているディストーションです。

RATの歴史

1970年代からRATの製造が始まっており、歴史のあるエフェクターです。

RATヒストリー
  • 1978
    プロトタイプ

    大量生産する予定のなかった初期のRATは手作りで製造されました。このペダルは12個しか作られず、その内1つがプロトタイプ、残りの11個が製品として販売されました。

  • 1979
    The Rat 量産

    量産を始めた初期RATは”ラージボックス”と呼ばれており、現在RATの2倍くらいある筐体で、黒く塗装された上に白いRATロゴがシルクスクリーン印刷されました。RATの原点とも言え、これから何度も仕様変更を繰り返して進化を続けます。

  • 1981
    The Rat モデルチェンジ

    以前のモデルに対し、”TONE”コントロールが”FILTER”コントロールに変更されました。一般的な”TONE”とは異なり”FILTER”は時計回りに回すと高音域をカットします。この”FILTER”はRATの特徴的なコントロールとなりました。

  • 1984
    Small Box RAT

    外観を大きくモデルチェンジした”スモールボックス”と呼ばれている現RATの製造がはじまりました。回路に変更はありませんが、筐体はより小さいものに進化しました。

  • 1984
    R2DU

    1980年代はエフェクター関係のラックマウントがブームとなっており、ProCoもラックタイプ「R2DU」(1Uラック内に2つのRAT回路を備えたもの)をリリースしました。この2つの回路はそれぞれ別々にも、直列で接続して使用することもできました。

  • 1988
    次世代 RAT

    次世代RAT「RAT2」にモデルチェンジしました。筐体は以前の形と同じですが、ロゴは暗闇で光る蓄光加工になり、オン/オフが視覚的に確認できる赤色LEDも追加されました。

  • 1989
    Turbo RAT

    RATの音色を拡張する初めての製品として誕生しました。Turbo RATはよりアグレッシブな音を表現できます。

  • 1991
    Vintage RAT

    ヴィンテージを求める多くの需要を受け、”ラージボックス”の復刻盤が製造されました。”ラージボックス”刻盤のVintage RATは、ProConoのロゴが一部デザイン変更されたことと、裏側に電池ボックスが追加されました。

  • 1997
    BRAT

    BRATはProCoが低価格帯のエフェクターとして販売したモデルです。筐体は簡素化され、色も黒からカラフルなカラーリングに変更されRATとは差別化が図られています。

  • 2002
    Deucetone RAT

    Deucetone RATはラックタイプR2DUがコンパクトエフェクターに進化したもので、R2DU同様1つの筐体の中に2つのRAT回路が備わっています。

  • 2004
    You Dirty RAT

    Deucetone RATのDirty RATセッティングが高い評判を受けて、シンプルなシングルチャンネルとしてラインナップに追加されました。

  •  
    さらなる進化

    その後もRATは、SOLO、FAT RAT、LIL' RATといったモデルをリリースし、進化を続けています。

現行ラインナップと特徴

RAT2

オーバードライブからディストーション、そしてファズのような強烈な歪みまで作ることができるエフェクター。ジェフ・ベックが使用した事でも有名で、様々なジャンルで活躍しています。

プロアマ問わず世界中のギタリストに愛され続けている、「RAT」といえはこのモデルです。ディストーションに分類されていますが、唯一無二の特徴があり、一度は手にしてみる価値があります。

Turbo RAT

「最も強烈な”RAT”」として販売されている通り、出力がアップされワイルドな歪みが得られます。RAT2のファズ・サウンドのようには音が潰れず、アタック感の強いディストーションとして、メタルやパンクでも活躍できます。

Deucetone RAT

1つの筐体の中に2つのRAT回路が備わっているモデル。しかも背面のスイッチにより3種類のRATサウンドを、それぞれ切り替えられるようになっています。

チャンネルAは「Vintage RAT」「Turbo RAT」「Dirty RAT」、チャンネルBは「Vintage RAT」「Turbo RAT」「Clean RAT」からそれぞれ選択して使うことができます。

IN/OUTが独立しており、同時使用はもちろんそれぞれ独立して使用することもできる為、まさに2台のRATが1つに集約したような高機能なエフェクターです。

You Dirty RAT

Deucetone RATのDirty RATセッティングが高い評判を受けて生まれました。RATシリーズの中で最もファズ効果の高いモデルで、ファズっぽいハイブースト・ディストーションが得られます。

SOLO

RATシリーズとは一線を画す、新しい世代のディストーションペダルです。今までのRATにない変化が下記になります。

非対称的なクリッピング
低いワット数のヴィンテージ真空管アンプから、現代のハイワット、ハイゲインアンプへと効果を選択できます。設定は「HOT」「MELT」「BURN」の3段階に切り替えができ、右にいくほど出力が大きくなります。

スクープ(SCOOP)
ミッドをコントロールできるパラメトリックイコライザのような効果を得られます。TONEコントロールと組合わせて、サウンドの作りこみが可能です。

FAT RAT

RATシリーズの最新モデルで、2つの切り替えスイッチを搭載し、クラシックな歪みはそのままに、音楽シーンに合わせた多機能モデルとなっています。

2つの切り替えスイッチを使用することで、MOSFET(ゲルマニウムクリッピング) / STOCK(伝統のシリコンクリッピング)のクリッピング切替と、FAT(低音ブースト+高域カット)の選択が可能です。

両方「Stock」に合わせるとオリジナルのサウンドを再現、「」「MOSFET」でアンプライクな歪みに、「FAT」を選択するとベースやダウンチューニング、またローゲインセッティングでのファットでスムースなサウンドを表現できます。

LIL’ RAT

RAT2と同じコントロールとサウンドのまま小型化されたモデル。

小型ですがRAT2と同様に頑丈な筐体で、小さなツマミが採用されておりツマミのセッティングが見づらいのが難点ですが、RAT2の約半分のサイズでペダルボードのスペース確保に役立ちます。

まとめ

RATは長い年月を経て、現在でも多くのギタリストの支持を集める“ビンテージ・エフェクター”であり、また現代の音楽シーンに合わせたモデルもラインナップしてます。特に初代の特徴を受け継ぐRAT2は今でも絶大な人気があり、一度は手にしてみる価値がある名器です。

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