ロシア製の真空管が輸出禁止、真空管アンプはどうなる?

ロシア製真空管 ニュース

ロシアのウクライナ侵攻を踏まえ各国がロシアに対し制裁措置を行っていますが、ロシアは制裁措置の報復として、大統領令に基づいて3月10日に特定品目のロシアからの輸出を禁止しました。輸出禁止品目には、生産設備、電気通信機器、医療機器、輸送機器(完成車を含む)、農業機械、電気機器など200以上の品目が含まれています。

ロシア製の真空管が輸出禁止に含まれる

エレクトロ・ハーモニックス社は、ロシア政府が輸出禁止とした品目の中に、同社が他社を含むギターアンプと一部のペダルの製造に提供しているロシア製の真空管が含まれていることを発表しています。

EHX真空管に関するお知らせ(2022年3月16日)

2022年3月11日、ロシアは現在のウクライナ紛争をめぐる制裁を受け、約200品目の輸出禁止措置を講じました。この禁止措置はEHXのロシア製真空管〈Electro-Harmonix|EH Gold|Tung-Sol|Genalex|Svetlana|Sovtek〉にも適用されます。現時点で、この措置は2022年末まで有効とのことです。この輸出禁止措置により、これらのブランドの真空管は今後の入荷が未定となっております。

日本エレクトロ・ハーモニックス

輸出禁止はロシアの工場で製造されている7ブランドの真空管にも適用されることが確認されています。

  • Electro-Harmonix
  • Electro-Harmonix Gold
  • Sovtek
  • Tung-Sol
  • Mullard
  • Svetlana
  • Genalex Gold Lion

輸出禁止の影響

真空管のロシアからの輸出禁止により、世界的な真空管の供給不足が懸念され、アンプなどの製造にはかなりの痛手となる可能性があります。

ロシア以外に真空管の大規模な真空管製造会社は、スロバキアのJJと中国のShuguang(曙光電子)の2社がありますが、JJの本社があるスロバキアはウクライナと国境を接する隣国、また中国も今後のウクライナ侵攻にどう関わっていくかが注目されており、この2社で世界の真空管需要をまかなえるかは不透明な状況です。

各メーカーのアンプやペダルの製造に加え、ユーザーが保有している真空管アンプのメンテナンス面でも影響が出そうです。

【Update】3月17日 ロシアが真空管の輸出を解禁

エレクトロ・ハーモニックス社によると、真空管の新規注文の受付を再開し、4月から出荷を目指すと発表されました。

すべてのEHXチューブのお客様へ

ロシアのチューブの輸出制限は今のところ解決されています。新規注文の受付、入荷待ちの処理、4月の発送再開を目指しております。最も古い注文が優先されます。

さまざまな経済的圧力を考慮して、卸売価格を引き上げる必要があります。この値上げは、すべてのバックオーダーと新規オーダーに適用されます。また、政府がロシア製品に対する関税の引き上げを実施すると、ニューヨーク本社から出荷されるチューブの価格がさらに上昇する可能性があります。これは、カナダが現在課している35%の税率と同様です。EU、英国、日本を含む他の地域もそれに続くと予想されます。

エレクトロ・ハーモニックス(日本語訳)

ただし「さまざまな経済的圧力を考慮して、卸売価格を引き上げる必要がある」と発表されており、真空管の卸価格が値上されると思われ、加えてロシアへの経済制裁としてロシア製品への関税を引き上げる国が相次いでおり、それらの国では関税分でさらなる価格の上昇が見込まれます。これにより様々なアンプの販売価格への影響も推測されます。

今まではロシア倉庫からエレクトロ・ハーモニックス社が本拠を置くニューヨーク倉庫を経由して各国に発送されていましたが、高額な関税の回避として、エレクトロ・ハーモニックス社は「合計3,000ドル以上(大量注文)の米国以外のすべてのお客様の場合、最寄りの国際空港に直接発送することを検討してください」と発表しています。米国の輸入関税の引き上げを回避するのがねらいです。

いったんはロシア製真空管の製造は継続されますが、当面は供給が不安定となり、価格の上昇も見込まれます。

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